優希合同会社

聴覚過敏の苦労と対策

東京在住在勤、40代女性会社員です。発達障害・気分障害で手帳は精神3級です。クローズで契約社員で働いています。

自閉スペクトラム症などの発達障害を持っている人には聴覚過敏があることが多いそうです。私も多少その傾向があるようです。

聴覚過敏というのは、聴力自体がいい人もいるようですし、それよりも聞こえてくる雑音を排除できないという、つまり耳というよりは脳のフィルタリングの問題もあるようです。
健常な人というのは雑音や騒音の中でも自分に必要な音や声だけを聞きとってそれ以外の音は無意識にシャットアウトするということが出来るらしいのですが、私はそういうことが下手です。ちょっとうるさい場所にいくと一緒にいる人との話が聞き取れなくなります(録音した音を再生すると、話していたときには気づかなかった周囲の雑音に気づくということがあると思います。うるさいところで録音するとその場では話は出来ているのに後で再生すると騒音ばかりで声が聞き取れなかったり。あれは通常の状況では雑音も耳には届いているのに脳で「不要な音」としてシャットアウトしているということのようです。私の場合は普段からああいう状況です)。

仕事の関係上数カ所のゲームセンターを回ったことがあります。一緒に回った人とゲームセンターの中で会話をしなければならなかったのに全く聞き取れず、ほぼ読唇術(?)と推測だけで会話を行い、一緒に行った人はイラっとしたようです。他の人は私やゲームセンターの人の言うことを普通に聞き取っていました。私は騒音でふらふらでした。

ゲームセンターほどではなくても、会社というのはオフィスであってもいろいろな雑音に満ちています。人の話し声、電話、ドアやキャビネットや引き出しの開け閉め、足音、台車、空調、椅子の回転音、インターホン、コピー機やプリンター、書類をめくる音……。

私は比較的静かなオフィスで仕事をすることが多かったのでなんとかなってきましたが、あるときオフィスの自販機の近くの席になってしまったことがあります。
毎日、飲料会社の人が飲料の補充に来るのですが、これが私には耐えがたい騒音でした。
ガシャンガシャンガシャガシャガシャガランガシャン。
近くにいる人に「うるさいですよね?」と尋ねてみると、「うーん、まあうるさいといえばうるさいですけど。短時間のことですし」という返事だったので、その人はそこまでうるさいとは感じていなかったようです。
確かに短時間のことだしと思って我慢していましたが、私は騒音から体調的には頭痛が生じやすく、さらにはそれ以上に困ったことに精神的に苛立つために怒りっぽくなります。
会社で怒りっぽいのはまずいと思いながらも、でも、抑えられません。(特にその騒音の原因になっている人、つまり話している人や電話をかけている人にイライラしてしまいます。)
時々、目立たないように耳栓をしていたものの、ないよりは少しはマシかもしれないという程度で、あまり楽にはなりませんでした。自販機の音のようなものには全く無力でした。

上司に、「自販機の入れ替えがうるさいので、イヤホンで音楽聞いていいですか」と尋ねてみました。
上司の答えは「うるさいっていってもみんな普通に仕事しているんだし。あなただけっていうわけにもいかないでしょう。我慢して」でした。
(なお私は会社では障害についてクローズ(障害があると言っていない)です。言っていれば違ったかもしれません)
どうにもならず、その後は自販機の入れ替えの人が来ると、席を外してコンビニにお茶を買いに行ったり休憩室でぼーっと携帯いじったりして時間をつぶしました。
(話は逸れますが、自販機の入れ替えの間音楽を聴きながら仕事をするのは駄目でも、入れ替えの間離席して仕事しないことは何も言われなかったので、こういうところが日本の生産性を下げているのかな、なんて思ったりもします)


今の会社は割と自由な会社で、仕事中でもイヤホンつけて音楽を聴いている人もいれば(体がリズムに乗って揺れているので音楽だと思います)、イヤーマフ(雑音をシャットアウトするヘッドホン型耳栓のようなもの)をつけている人もいます。
それで私もさりげなくノイズキャンセラーを使い始めてみたところ、何も言われなかったので、そのまま使い続けています。特に許可は取りませんでした。

このノイズキャンセラー、初めて使ったときには感動しました。本当に静かになるのです。その静けさを味わって初めて、自分にとって周囲の雑音がどれほど堪えるものだったのかに気づかされました。ノイズキャンセラーを使うと心底ほっとします。
そして不思議なもので、「ノイズキャンセラーがある」と思えると、実際には使ってないときに少しぐらい雑音があっても我慢が出来ますし、怒りっぽくなったりもしません。周りの話し声がうるさいと思ったらノイズキャンセラーを使えばいいのですから。
会社の人達も私がノイズキャンセラーを使っていることが多いことに慣れていて、私に用事があるときはスカイプで呼んだり顔の前で手を振ったりしてくれます。

ただ、周りの声が聞こえないことにはデメリットもあります。
それは、周囲の人が話していることが聞こえないので、周りで起きていることに気づかないのです。人間関係とかも。私は元々職場の人間関係に鈍感なところがあり、ましてや周りの会話が聞こえないともっと鈍感になっているだろうと思います。
また私のノイズキャンセラーはキャンセリング機能をマックスにしていると電話の音もかなり聞こえにくくなるので、電話を取る必要がある仕事をしている人には不向きかもしれません。私の場合は電話は呼び出し音と同時に光るようになっているため、視界に入るところに電話機を置いています。

それでも、ノイズキャンセラーがあるととても楽です。
仕事の状況や自分の精神状態を見ながら、適度に使っていきたいと思っています。

なお私が使っているノイズキャンセラーは結構いいお値段がします。私が買ったときは3万円超しました。自費で買っています。会社に負担はないわけですから、こういう道具はもう少し自由に使わせてくれる会社が増えたら嬉しいと思います。

(A.H.様 2019年8月12日掲載)